なかよし家族
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2,マゾっ気のある次女で性欲処理してしまった。(5)

 それに気が付いたのは、可愛いと言う言葉が好意を向けられているのだと思っていた高校生の頃。同じクラスにはいつも目が合えば笑いかけてきて、「藤宮君って可愛いねー!」と、遠慮も無く頭を撫でてくる女の子がいた。
 僕はその子が好きだった。普段の態度から、彼女も同じ気持ちだと信じていた龍之助は、成功するという確信をもって彼女を呼び出し告白した。

 だがまぁ……結果は惨敗。切り捨てられた言葉は「藤宮君はそういうんじゃないんだよなぁ」という一言だった。そして彼女は、待ち合わせをしていた彼氏のもとに向かうと、自分には一切見せた事のない、女の笑顔を作った彼女は彼氏と一緒に帰っていった。そもそも彼氏がいることすら知らなかった龍之助は落胆し、最初で最後の恋物語は幕を閉じた。

 そこで龍之助は悟ったのだ。自分は男性として見られてはいないのだと。
 だから龍之助は、可愛いという言葉が苦手だった。それを言われてしまった瞬間、自分は男ではなく子供や小動物のように扱われていると思ってしまうから。
 嫌な過去を思い出して、龍之助の表情は少しだけ暗くなってしまってしまう。
 すると突然。頭に温水をぶっかけられた。

「ぶへっ。ちょっと亜花梨姉ちゃんっ、頭を流すなら先に言ってよ」
「あーしはからかってないぞ」
「え……?」

 シャワーを頭にかけ続けて、龍之助の頭皮をもみ込むように洗う亜花梨。

「周りがどう思ってお前に可愛いって言っているのか、私はそんなことわかんないけど。少なくてもあーしは、お前のことを本当に可愛いと思ってる。ペットや子供のようなものじゃなく……大事な、一人の男としてさ」
「亜花梨姉ちゃん……」

 まるで龍之助の心を読んだのかと思うほど、的確な言葉を亜花梨は投げつけてきた。真摯に話す彼女の言葉に、龍之助は心まで温かくなった気がした。

「だからさ、お前に何かあったらと思うと、あーしは不安なんだよ。心配で何も手に付かなくなっちゃうんだ」

 亜花梨の話に耳を傾けていると、下腹部に何かが触れる感触を覚えた。
 一体なんだろうと目を向けてみれば、頭を洗っていたはずの亜花梨の手は、いつのまにか龍之助の下腹部に伸びていた。話を聞いて冷静になっていた息子に、茜の手が触れている。

「ふわぁ……っ、亜花梨姉ちゃん……何を……」
「タツお前、今日はまだシてないんだろ? だから、手伝ってやるよ……」

 どうしていいのか分からない、といった感じの、たどたどしい手つきで亜花梨の手が動き始める。茜の時と比べて、物足りなさを感じる奉仕だったが、龍之助の愚息はどんどんと大きく膨らみ、固くなっていった。
 おぼつかない手つきでも触っている相手が知人なら、それこそ物心ついた時から一緒に育った姉であるならば……現実では考えられない背徳的な状況が、龍之助の劣情を煽ってしまう。

(摩擦も何もなくて、全然気持ち良くないのに……なのに……)

 龍之助の愚息は岩のようにガチガチに勃起してきて、背伸びでもするかのように反り上がる。血液を送り込むために膨らんだ血管は、まるで山脈のように、至る所に起伏を作り上げていた。

「うわぁ……こんな……大きくなるものなんだな……」

 好奇心を含ませた声で、亜花梨は龍之助の耳元で囁く。
 耳に吹きかかる彼女の熱を帯びた吐息が、龍之助の身体をピクリと震わせた。
 そして亜花梨は、遠慮がちに触れている手を動かし始める。

「ど、どうだ……タツ……ねえちゃんの……あーしの手、気持ちいいか?」
「う、う……ん」

 龍之助は亜花梨の質問に遠慮がちに頷いた。
 正直、気持ち良くはない。さっきも思ったが、水を含んだ手では滑りが悪く手に引っ付いて動くだけで、これだと性的快感なんて得られるべくもない。
 さらには亜花梨の力はとても強く、まるで握りこぶしを作るような、そんな意気込みで剛直を握る彼女は、ただデタラメに上下に動かしているだけなのだ。
 それでも、この状況が一役買って、勃起しているのは事実なわけで……気持ち良くないとも言えずに龍之助は大人しく奉仕を受けていた。

(でもこの調子だと、とてもイクことはできなさそうだし……これじゃあ生殺しだよぉ……)

 自慰でも姉の手淫でも上手く発射することができない龍之助は、焦れてしまい身体をくねらせた。今日は本当に散々だ。悶々とした気持ちを募らせながら龍之助は薄味の快楽に身を投じる。
 龍之助の悶える姿を見たせいか、調子を良くした亜花梨は手の動きを速くする。

「そんなに身体を動かして……気持ち良くなってるってことだよな。いひひ……嬉しいな」

(うっ! そ、その力でそんなに早く動かされると……! ぬ、抜ける! 物理的にチンコが抜けちゃう!)

 亜花梨の印象とは裏腹に、実際の龍之助は痛みに悶絶していた。
 背後から剛直を扱き上げる亜花梨には、悲痛な表情をしている龍之助が見える訳などなく、逸物への責め苦は勢いを増していくばかりだった。
 もはや完全な痛みに変わった感覚に耐え忍んでいる龍之助に一人昂奮している亜花梨は耳元で呟いた。

「気持ちよさそうに悶えるタツも……可愛いよ」

 熱を帯びた声で、愛でるように呟く『可愛い』に、龍之助は頭のてっぺんが噴火したような気持ちになった。

「気持ちく……なあああああああああああああい!」
「うわぁっ!?」

 龍之助は立ち上がりながら、声を大にして、大きく叫びながら強く主張した。
 振り向いて亜花梨の姿を見てみれば、彼女は尻もちをつきながら目を白黒とさせていた。いつもの龍之助なら、手を指し伸ばし起こすのを手伝うところなのだが、今回はそうはしない。手は伸ばしているが、指先は閉じられ、唯一伸ばしている人差し指を亜花梨に突き立てる。

「気持ち良くて震えてたんじゃなくて、痛かったの! ズコズコズコズコ上下してっ、恥骨を殴りつけられてるのかと思ったよ! あと可愛いって言うな! 嬉しくないって今さっき言ったばかりでしょおおおおお!」

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