1.10話

 どれぐらい眠っていたのだろう、聞き慣れないチャイムの音で目が覚めるとさっき知り合ったお兄さんが目の前にいた。

「起きた?」
「……ふぁい」

 しゃんと返事をしたつもりだが上手く舌が回らない、唾を飲み込むと喉に渇きを感じる。
 もう一度チャイムが鳴ると、お兄さんは寝室を出ていった。

 ふと躰を見ると汗まみれになっており、シーツが少し湿っている。
 自分の汗でお兄さんのベッドを濡らしたのが妙に気恥しくなり、思わず枕を取って隠そうとしたら、お尻にぬるりとした感触を感じた。

(え……何これ……)

 まさか粗相をしてしまったのかと思い、恐る恐る指を当ててみると下着は水気を帯びており、血の気が一気に引いたような感覚がする。

(うそ……でも、漏らしたにしてはシーツにはそんなに……)
『結花ー! 荷物運び終わったから帰るわよー』

 母親の声で驚き、体が跳ね上がる。
 このまま帰ったら後でお兄さんに怒られるかも知れない。

「ちょっと待ってー!」

 私は咄嗟に返事をした。
 しかし……この液体は一体なんなのだろう。
 指に触れた液体は嫌な刺激臭は感じず、ほとんど無臭といってもいい。
 そして粘着性があり、指に押し付けてから話すと薄く糸を引いている。
 汗とも違うこの液体は何なのか見当がつかず、どこから出ているのか確認しようと股間に指を這わせてみる。

(なんだろ、これ?)

 ぬるぬるとした局部に硬いしこりみたいな物が出来ており、直接指で触ってみると。

「んぁっ!?」

 躰に電気が走った。
 電気は股間から体の先端まで走り抜けるように流れ、電気が抜けきった後は局部にじんじんと熱のようなものを感じて、痒さにも似た感覚がある。

(も、もう一度触りたい……)

 小用の時以外触れた事がない秘所に再び手を伸ばし、今度は何回も指を這わせる。

「ん……はっ、んふ、ふぅ……ふぅ……ん」

 なんとなく、触れてはいけない場所だと思いつつも経験した事のない気持ち良さに指を止める事が出来ない。
 せめて声を聞かれないように左手で口元を抑えながら未知の快楽を味わう。

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