2.19話

「んご、がっ、うぐ…………」
 乱暴に口内を突かれ続けた美穂さんは、ぐるりと黒目を上に向けて、性器に吸い付いたまま、だらしのないアヘ顔を晒していた。
 精液が口内に流れ込んでくると体を不随意に大きく揺らせて、彼女は本日二度目の絶頂を迎えている。

「お~、吸われるぅ~」
 白濁液を飲み込む度に、美穂さんは逸物にぴっちりと吸い付いて、喉の最奥まで飲み込もうとしている。
 その感覚が溶けるように気持ち良く、普段の倍程は射精している気がした。
 最後まで喉に出し切って、射精感が無くなってから、口内に挿し込んだ逸物を引っこ抜くと、彼女はベッドにうつ伏せで倒れ込んでゲホゲホと咳き込んでいた。

「はー出した出した。今日はこんなものでいいですよ。また明日、仕事行く前にお願いします」
「げほっ、はぁはぁ…………も、もう……嫌」
 彼女は息を荒げながら、そう言った。

「はぁ~?」
「……私が間違ってました。やっぱりこんなのおかしい」
「じゃあ結花ちゃんはどうするんですか? 彼女一人で寂しがりますよ」
「結花にはちゃんと話をします、あの子ならきっとわかってくれる……だからもう、こんな事出来ません!」
「えぇ……それじゃあ俺の性欲処理はどうするんですか、折角毎日楽しくなると思ったのに!」
「そ、それこそ、私の知った事ではありません!」

 躰を震わせながら、美穂さんは明確に拒否を示してきた。
 息を荒げながら、睨むように俺を見ている美穂さんに、肩をすくめてわざとらしくため息を吐いて見せた。
 やれやれ……。
 俺は部屋の端に置いてある仕事机まで歩くと、立てかけてあるスマホを手に取りってすいすいと画面に指を走らせる。
 そして暫く待つとスマホから音声が流れ始める。俺は美穂さんの近くまで行くと、画面を見せるように、彼女の眼前にスマホを差し出した。
「え……何……これ…………」

<あー……気持ちいい、いい感じですよ美穂さん>
<は、はい……あっ、んっ、んん……>
<美穂さんもおっぱい気持ちいいですか?>
<……>

 彼女はスマホに映った、先程までの情事を食い入るように見ている。

<ほらほら、ムード悪くしちゃうとイけるものもイけなくなりますよー>
<……き、気持ちいい……です>
<はい、良く言えました>
<あっ! んひぃっ!>
 美穂さんの様子を確認してから、見せていたスマホを戻して動画を止めた。

 ――結花ちゃんを預かる約束なんて、所詮は口約束。彼女の人柄を考えれば土壇場で『やっぱり辞める』と言い出す可能性は十分考えられた。だから俺は絶対に逃がさない為の保険が欲しいと思い、動画を撮った状態でスマホを立てかけていたのだ。
 案の定、意思の弱いこの女性《ひと》は楽な方に逃げだした。
 面白いくらいに、可哀想な人だなと思った。

「この動画には小さいですが美穂さんの顔と名前、そして自分で気持ちいいと同意ともとれる発言が含まれています」
「あぁ……嘘………嘘でしょう……」
 俺はすっかり縮こまってしまった彼女の肩にそっと手を置いて、
「また明日、お願い、できますか?」
 狼狽している彼女にも伝わるように、ゆっくりと言ってあげた。

 彼女は暫く放心してから、人形のように、力なく頷いた。

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