4.30話

「でも、見ないと触れないからね」

 懇願する結花ちゃんを尻目に、俺は返事をした。
 結花ちゃんはそのまま、押し黙ったまま固まってしまった。
 すっかり主導権を奪われた彼女の有り様に、加虐心が刺激された俺は時間を掛けて、彼女の脚を撫でまわした。

 内腿に当てていた手を大腿部に移動させてから、滑らせるように指を動かすと、結花ちゃんの躰は、まるで指と連動しているみたいにビクリと四肢を震わせる。
 少し陽に焼けている脚は、張りのあるしっとりとした肌触りで、押し込むと筋肉の弾力を感じる健康的な脚だった。

 最初に触れた時も思っていたが、この脚を触るのは癖になる。
 傍から見ていると普通なのだが、触れる度に興奮してしまい、同時に手に馴染む感触が安心感を与えてくれる。
 俺は陶器のように綺麗な脚に、夢中で指を這わせていた。
 ベッドに押し潰されている外側の腿肉まで指を歩かせてから、脚とベッドの隙間に指を忍ばせる。
 体温で心地のいい暖かさを感じる内腿は、少し蒸れていて湿り気を感じさせた。

 愛撫に集中している俺の手にはもう力は入っていない。つまり結花ちゃんはもう自由に足を動かせる事が出来る。
 それでも彼女は脚を開いたままだった、それどころか這い回る指の感触に惚けているのか、さっきよりも大きく開脚させており、ねだるように腰をくねくねと揺らしている。

 まるで踊り子のような、艶めかしい腰使いに魅了されながら、脚の隙間に挿していた指を引き抜き、皮膚から離れないように恥部の近くまで指を踊らせた。
 愛液でじっとりと濡れている秘所に近づくほど、彼女の反応が大きくなる。俺は期待に応えるよう、四肢の付け根、大隠唇と脚の間に親指で触れた。

「あっ、はぁぁぁ……」

 性器に限りなく近い場所を触られた結花ちゃんは、熱を帯びた息を吐き出した。
 誰にも触られた事の無いであろう場所に指が這い回る感触は、彼女にはとても刺激的だったようだった。

 艶声に気分を良くした俺は、その場でぐにぐにと指を動かしてマッサージするように愛撫する。
 彼女は声を押し上げるように息を荒げて、目を閉じて触覚に意識を集中している。
 気が付けば、指が動きやすいように脚を全開にして、顔を隠す為に伸ばされた指はだらしなく折れ曲がっている。
 指の隙間から見える瞳は焦点が定まっておらず、口は|忙《せわ》しなく呼吸をする為ぱっくりと開けられていて、外に少しだけ出た舌先には唾液が滲んでいた。

 俺はその姿を見てつい口角が上がってしまった。
 彼女の姿はまるで、自慰行為を覚えたばかりの男子中学生のようではないか。
 一度そう思ってしまうと、性欲に取り憑かれてみっともない顔をする彼女が滑稽で、そして愛くるしく見えた。

「あ……あの……」

 開いていた口を閉じ、乾いた唇に舌を這わせてから彼女が言った。

「は……はやく……触って、ください……」

 そういった結花ちゃんの表情は、無垢な少女といったものではなく、目を見開いて、期待に満ちた表情をしている。

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