「そういう内容はお気に召しませんでしたか?」
「そういう問題じゃないでしょう⁉ こういう本を、その……異性に抵抗なく渡すってちょっとよくないんじゃないですか?」
「あら、わたしは全く気にしませんけど。もしかして意識しちゃいましたか?」
笑みを浮かべて女性が言う。その仕草が小馬鹿にされたようで真は少し頭にきてしまう。
「別にそんなこと……僕はただ色々心配しただけですよ」
「へぇ……どんなことを心配したんですか?」
「それは……」
真は言いづらそうに表情を曇らせ、言葉に詰まる。
それもそのはずだ、たった今出会ったばかりの女性に『こんな思わせぶりなことをして勘違いされたらどうするつもりなのか』と問いただそうとしたのだから。これではまるで、自分自身が勘違いしてしまっているようじゃないかと、言葉を詰まらせてしまった。
「これだとまるで、わたしが貴方を誘っているように見えてしまう。と心配しちゃいましたか?」
「……!」
押し黙っていると、女性は真の心中を覗き込んだかのように考えてることを言葉にした。
「でも、もしその心配が本当にそうだとしたら、貴方はどうします?」
「本当にって……」
女性はやおら腕を動かし、胸元に持っていく。真は腕の動きにつられて視線を胸元に向けてしまう。
「さっきから貴方、本ではなくわたしの胸ばっかり見てますね」
「す、すいません……!」
女性の言葉にドキリとして、真は慌てて視線を逸らす。だが女性は怒った様子もなく。声の調子を変えずに言った。
「わたしの胸、触ってみたいですか?」
「えぇ……っ?」
想像もしていない提案に、真は素っ頓狂な声を上げてしまう。
「もしも貴方が触りたいのなら、わたしは全然構いませんよ。どうぞ、好きに揉みしだくなり吸い付くなりしてください」
「好きにって……本気でいってます……?」
真は生唾を飲み込み、彼女にそう言うと、彼女は証拠だとばかりにセーターをたくし上げ始めた。
ダボついた服が引き上げられ、彼女のよく締まった腹筋が姿を現す。そのまま彼女は止まることなくはセーターを上に上げていき、ミステリアスな空気にぴったりと合った黒のブラジャーが姿を現す。
「わたしは本気ですよ。後は貴方の気持ちだけ……どうです? 手を伸ばせば好きにできる乳房がすぐ目の前にありますよ」
彼女は目を弓のように細めて、妖しい笑みを浮かべる。その笑みですら、妖艶な色気が纏わりついているようで真は目を離せないでいた。
「ほ、本当にいいんですか……その、触ったら通報とかは……」
「心配性ですね、大丈夫ですよ。ほら」
彼女は指を上に向け、店内の一角に向けた。そこには監視カメラがあり、レンズの横では赤いランプがチカチカと点滅している。
「ここの様子はカメラで録画されてます。万が一、貴方の予想通り警察沙汰になったとしても警察は証拠として映像を確認するはずですよね。そうしたらわたしが自分から誘っているのは明白なのだから貴方に責任はないでしょう?」
彼女の言葉に真は勢いよく頷く。その姿を見て彼女は薄く笑みを浮かべてから、乳房を支えるブラジャーまでたくし上げてしまった。
抱えられていた二つのたわわは勢いよく飛び出し、ぷるると弾む。
「だからあなたは何も心配する事はないんです。さ……遠慮なくどうぞ」
いったい、彼女は何で自分を選んだのだろうか。頭の中で疑問がよぎっていたが、そんな些末な疑問は彼女の乳房を見て一瞬で頭から吹き飛んでいた。そんなことより今は、彼女の身体に触れたい。
おそるおそる、真は彼女の乳房に手を伸ばす。指の先端が胸にふれると風船のような弾力と一緒に、マシュマロのような柔らかさを感じた。
「ん……貴方の手、とても冷たい」
「そりゃ、緊張、してますから」
緊張のあまり声が裏返りそうになる。指先には自分でもわかるぐらい冷たさを感じ、背中から寒気を感じるほどだった。そのせいか、触れた乳房のぬくもりがとても気持ち良く、一度触れてしまえば指先だけでなく手の平まで使って掴み切れないほどの巨大な双丘、その一山を掴んで揉みしだいた。
「んは……、はぁ、んっ、くぅ……っ、どうですか、わたしのおっぱい、揉みごたえありますか……?」
「はいっ。温かくて柔らかくて、ずっと揉んでいたいぐらいです」
ぐにぐにと彼女の乳房を握り潰しながら、真は息を荒げていた。一度触れてしまえばさっきまでの緊張は嘘のようになくなり、残ったのはどんどんと昂っていく劣情だけだった。
「ふふ、よかった……あんっ、んっく、はあぁぁっ」
「うああっ」
彼女の口から熱のこもった吐息が吐き出される。吐息が耳に掛かりこそばゆさに真は身体を震わせる。
「くすぐったかったかしら、ん……ごめんなさいね。でも、息を抑えることができなくて、えぇ……っ」
「だ、大丈夫です。なんなら僕のほうが息荒いですから」
こんなにいい思いをさせてもらって謝られる謂れなどない。真は必死になって気にしていないと主張する。すると彼女は身体を寄せて、真の下腹部、ガチガチに固まっている突起に触れた。
「はうっ」
彼女は慣れた手つきで凝り固まった剛直を撫でる。ズボンの上からだというのに痺れるような気持ち良さがして、真は変な声を上げてしまった。
「こんなになってたら、息が上がるのも無理ないですね」
「なんでそんな上手いんですか……もしかしてこういうこと、結構やってるんですか……」
「さぁ、どうでしょうね。どっちだと思いますか?」
肉竿を撫でていた手はそのままもっと下部に移動すると、真のふぐりを器用に転がし始めた。痛くもなく、苦しくもない絶妙な力加減に真は腰を震わせる。
「こ、こんなの、初めてで出来るわけないじゃないですかぁ……」
間違いなく彼女は他の男にもこういうことをしている、そう思うと盛り上がっていた気持ちに混じり、切ない気持ちを感じた。しかし、それでも身体は正直なもので、彼女の奉仕に対して逸物は元気に身体を揺らしている。
「ほらほら、悲しい声を出さないでください。わたしだって誰彼構わず、と言うわけではありません。貴方が気に入ったからこんなことしてるんですよ」
耳元で、舐めるように彼女が言う。それだけで肌が粟立ち、腰が浮いてしまいそうになる。
「ん……もっと強く、先っぽも、触って……」
「は、はいぃ……」
気が付けば、彼女に誘導されるまま、真は手を動かしていた。乳房を握る指を先端に寄せ、彼女の硬くなった突起をつまむと、彼女は嬉しそうに表情を歪める。
「んはぁっ、おっぱい気持ちいいっ、もっと、もっと弄ってぇっ」
悦びの声を上げる彼女に比例するようにちんぽをしごく腕の動きは加速していく。もう下着の中では溢れた我慢汁がかき混ぜられ、グチョグチョに汚れていた。しごきあげられるたび、ぬとりとした感触が剛直に伝わる。
「ちょ、ちょっと待ってください……、も、もう出ちゃいそうです」
真は我慢の限界だった。ガチガチに固まった怒張は気を抜けばすぐさま種子を吐き出そうとぱんぱんに張りつめている。泣きそうな声で伝えると、女性の動きがぴたりと止まった。
「あ……ど、どうして」
てっきり最後までされるものだと思っていた真は思わずそう言った。すると彼女は、真と唇が重なるほど近い距離に顔を寄せて、
「このまま最後までするのはつまらないでしょう。もっと色々なことをしたくない?」
と、囁くように言った。
真は「はい」と頭を縦に振る。既に収まりがつかない状態の真に彼女の提案を断る理由なんてなかった。
「それじゃあ奥に行きましょうか。流石にここじゃあ、ね」
はだけた衣服をざっと着なおし、彼女は店の奥へと向かっていく。彼女の後ろをついていきながら、真はふと気が付いた。
「あの、お名前を伺っても大丈夫でしょうか? 僕は柿崎真と言います。」
「あら、そういえばお互い名前も知らなかったわね。わたしは一ノ瀬。|一ノ瀬忍《いちのせしのぶ》。よろしくね、真さん」
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