挿入を始めてから十数分。抜かずに何回も射精を続けた龍之助は、やっと満足して剛直を抜き取る。
しっかり龍之助を掴んでいた膣道から剛直を引き抜けば、むせ返る雄臭と共におびただしい量の白濁液が溢れ出してきていた。
「はぁ~……満足。ありがとうございます、茜さん」
服を着ながら、龍之助は心の底からお礼を言った。
なぜなら陰嚢の痛みはすっかり引いており、身体の調子がとても良くなったからだ。
オマケに、彼女は女性の素晴らしさを教えてくれた。龍之助に取ってそれはなによりの収穫だった。
「あ……あぁ……あっ……」
力なく声を上げながら、茜はベッドの上で倒れている。
その姿を尻目に見ながら、龍之助は処置室を後にした。
「タツ君! 大丈夫?」
処置室を出ると、優菜が不安そうな表情で龍之助に向かって駆け寄ってきた。
中の様子を見られないように、扉を閉めてから優菜を迎え入れた。
「母さん、大丈夫だよ。看護師さんに処置してもらったお陰で、だいぶ楽になったよ」
「本当にっ!」
大げさに身体を動かしながら元気になった事をアピールすると、優菜は安心したように息を漏らした。
「処置室に入ってから、中々出てこないから……私達本当に心配していたのよ」
私達、という言葉を聞いて、龍之助は亜花梨の方に目をやった。
目が合った彼女は、何か言いたげに口を開けていたが、何を言うでもなく口を閉じると顔を反らした。
(亜花梨姉ちゃん……? どうしたんだろ)
「おほん、そろそろお話をしても大丈夫ですかね」
「あ……すいません先生」
「いえいえ、奥さん。気になさらないでください」
それから家族揃って、改めて病気の事を説明された。医者の話に耳を傾けながら、龍之助は思う。
こんな奇病にかかってしまうなんて、まだ半信半疑な所はあるけれど、実際に射精を繰り返すと朝に感じた痛みは嘘のように軽くなったのだから、医者の言う事を信じるしかなかった。
しかし、ひとつだけ龍之助には懸念材料があった。それは射精に至るまでのおかずだ。
今回は茜さんが身体を張って助けてくれたけど、幸か不幸か、そのお陰でオナニーだけであれだけの回数を出す事が出来るのかと、龍之助は思い悩んでいた。
思案に耽る龍之助を察したかのように、優菜が声を掛けてくる。
「大丈夫よ、タツ君……一緒に頑張りましょうね!」
「え……う、うん」
一緒に――と、いう言葉が少し気になったが、自分の為にやる気に満ちている母親を見て、龍之助はすぐさま頷いた。
これだけ心配されるなんて、なんだか必要とされているみたいでとても嬉しい。
龍之助は母親の優しさで、心が温かくなったような気持ちになった。
「……たくっ」
ほっこりとした気持ちにリラックスしていると、亜花梨のため息が混じったような声が聞こえた。
どうしたのかと思って彼女の方を見ると、とっくにそっぽを向いていた。
(うーん……やっぱり、亜花梨姉ちゃんは気持ち悪いとかおもってるのかな)
龍之助は朝の光景を思い出していた。
あの時の亜花梨の反応はまさに羞恥のものだった。さっきまでの龍之助がそうであるように、恐らく亜花梨も性に関しては無知なのか、それかそもそもそういう事が嫌いなのかも知れない。
もうそうだとしたら、突発的な出来事だったとはいえ、申し訳ないという気持ちが胸中に湧き出てくる。
「さ、それじゃあ帰りましょう」
「あ……うん」
「…………」
会計を終わらせた後、家族全員で帰路に就く。
少しだけ気の重い帰り道で、なぜか優菜だけが上機嫌で歩いていたのを龍之助は不思議に思っていた。
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