なかよし家族
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2,マゾっ気のある次女で性欲処理してしまった。(2)

(亜花梨姉ちゃんの乳首が……うわ、うわぁ……)

 家の中だから油断したのだろうか、ブラジャーを身に付けていなかった亜花梨の乳房は、濡れたシャツがぴたりと張り付いてその全貌を晒けだしていた。
 手の平に綺麗に収まるサイズをした半球型の上向きおっぱい。牛乳が冷たかったのか、がっちりと勃起している乳頭のせいで、まるでそこからミルクを噴き出したかのような、そんな卑猥な想像をイメージさせてしまう。

 姉の淫らな格好があまりに魅力的で、龍之助は自分の体が石化してしまったのように、視線を外す事ができずにいた。

「くんくん……うわぁ、こりゃ臭くなるな。お風呂に入らないと……そうだ、タツ。お前も一緒に風呂に入るか? 昔みたいに洗いっこでもしてさ」

 すんすんと、自分の体臭を確認しながら亜花梨は言った。気さくにお風呂に誘うその快活な有り様は、まさしく龍之助の知っている藤宮亜花梨その人だった。その様子を見て、彼女もまた、こちらに対してどう接したらいいのかわからなくなっていたのかと思った。

 なればこそ、お風呂なんて誘ってきたのだろう。男友達が共に湯舟に入って親交を深めるのに習う様に、亜花梨もこの状況を改善しようと努力してくれているのだ。あくまで個人の勝手な解釈だが、そうとしか考えられずに、龍之助は嬉しくなった。

「勿論、昔みたいといっても裸じゃないぞ、水着でも着込ん……で――」

 楽しそうに話をしながら、亜花梨は振り返る。
 だが、龍之助の姿を一目みれば、目を白黒とさせはじめ、言葉はどんどんと尻すぼみになっていった。

「あ、亜花梨姉ちゃん?」

 今度は逆に、亜花梨の方が石化したみたいに時を止めてしまった。
 龍之助はどうしたことかと思いながら、彼女の様子を眺めていると、

「た、タツ……その、それ……」
「それ……?」

 亜花梨がギギギ……と、電池の切れそうなロボットのような動きで龍之助に指をさす。
 何かと思って視線の方向に目を向けると、亜花梨が指摘したのは龍之助の股間であり、そこには龍之助も気づかない間に、充血して大きく下着を膨らませた龍が住んでいた。

「お、お前……何膨らませてるんだよっ、このバカ!」

 亜花梨は紅潮させながら、龍之助に向かって叫んだ。睨むようにした瞳にはうっすらと涙を溜めこんでいる。

「違っ! これはさっき中途半端に終わらせちゃったし……。そ、そもそも亜花梨姉ちゃんがおっぱいを丸出しにするのが悪いんじゃないかっ!」
「は、はあああぁぁ……!? 丸出しってお前、何言って………はあああああぁぁぁ!!?? なにこれ!? おっぱい丸出しじゃん!!」
「だからそう言ってるでしょおおおおお!」
「だからじゃねえよっ、気付いてるならもっと早く言え! とりあえずあーし見るのやめろおおお!」

 龍之助は彼女に怒られて目をそむける。しかし脳裏には触れることが出来るかと思うほど精密に、姉の美乳が焼き付き目蓋の裏に残っていた。

(こ、こんなの……昂奮しないほうがおかしいよ)

 綺麗なピンク色をした、誰にも触れられていなそうな先端を晒しながら、いつも通りの笑顔でお風呂に誘ってくる亜花梨はギャップのせいでとても卑猥に感じた。
 久しく見た彼女の笑顔が、健康的なその裸体が、欲求不満を募らせている龍之助の劣情を十分すぎるほどに刺激する。

 こんな事になるなら、なんとか頑張って抜いておくべきだった……。考えてもしょうがないことに後悔を抱きながら、龍之助はより強く目蓋を閉じる。
 羞恥でパニックになっていた二人は、徐々に落ち着きを取り戻しはじめて、荒くなった息を整え始めた。

「はぁ……タツ……もうこっち見ても大丈夫だぞ」

 ぶつくさと文句を垂れながら言う、亜花梨の言葉に頭を上げてみれば、彼女はしゃがみ込み、手足をうまく使って体を隠していた。
 確かに、その姿勢なら大事な部分は隠れているが……恥じらった亜花梨の表情も相まって、余計にエロく見えるようになったのは気のせいだろうか。
 龍之助は改めて亜花梨の姿をじっと見た。

 運動が大好きな彼女の身体は均整が取れていて、しっかりと筋肉の乗った身体を丸めていても、そういうモチーフの芸術作品みたいに肉体美を感じさせた。
 動くのに邪魔になるからと、短めに切り揃えている短髪は、彼女のイメージにぴたりと合っていて、筋肉質の裸体と合わさると、成るほど似合っている。といった印象を持たせた。

「……『見てもいい』とは言ったけど、『見ろ』とは言ってないぞ、あーしは」

 切れ長の目つきをより鋭くさせながら、亜花梨は龍之助に圧をかける。
 じっと見ていたことに気付いた龍之助は視線を逸らす。

「う……ご、ごめん。でもなんだか亜花梨姉ちゃんが、凄く可愛いなって見惚れちゃって」
「は……はあぁ!? タツお前っ、あんまりふざけてると怒るぞ!」
「ふざけてないよ! 本当に亜花梨姉ちゃんは可愛いよっ!」
「はぁ……!? お、おまっ……はぁ!? 嘘つけっ! あーし、大学でそんなこと言われたことなんて一度もないぞっ!」

 茹で上がったタコのように顔を染め上げて亜花梨は言う。確かに、彼女の言っている事は嘘ではない。可愛いと言われることはおろか、そもそも異性に話しかけられることすら少ないのだ。

 なぜそれを龍之助が知っているのかというと、亜花梨は龍之助と同じ大学に通っているからだ。龍之助は2年で彼女は4年生。構内では特に接点はないが、たまに亜花梨を見かける事はあった。
 友達と話しながら歩く彼女は、男性に話しかけすらはしないが、周りの男性達は(なんなら一部の女子ですらも)亜花梨の存在に気付くたびに彼女へ視線を移していた。

 極たまに、意を決したように話しかける男もいるにはいたが……亜花梨の気さくな態度が無意識に場を和ませてしまい、朗らかな世間話をするだけで会話が終わってしまうのが茶飯事だった。
 要は龍之助の姉はモテるのである。しかし悲しいかな、自覚無しに恋愛フラグをひん曲げてきた彼女は、結果的に女としての魅力がないものだと思いこんで日常を過ごしていたのだ。

 友達に彼氏ができるたびに、しょぼくれている亜花梨を見るたび龍之助は何とかしてあげたいと思っていたのだが、今はそうしなくて良かったと思える。

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