なかよし家族
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2,マゾっ気のある次女で性欲処理してしまった。(6)

 溜まった劣情を怒りに変換するように、龍之助は怒声を上げた。
 普段から上の人間に抑圧されている末っ子でも、怒る時は怒るのだ。
 いきなり怒鳴りつけられた亜花梨は、何が起きたのかわからないといった様子で放心している。そしてそのまま黙っていたかと思えば、

「ご、ごめん……なさい」と、力なく謝った。

 表情は崩さないまま、男の怒声に慣れていないのか、亜花梨はどんどんと顔を紅潮させながら、頬には涙が伝い落ちていた。龍之助はそんな亜花梨の姿を見て、ハッと我に返る。

「あ……ごめん、亜花梨姉ちゃん。ここまで強く言うつもりはなかったんだけど……今日は色々、上手くいかない事が多くてイライラしちゃって……」
「……」

 龍之助の弁明に亜花梨は何も答えない。
 それどころか龍之助から顔を背けてしまう始末だ。

「ほ、本当にごめん……あ、起こすの手伝うよ」
「あ……ま、待ってタツ。今あーしに触らないで――」

 龍之助が肩に手を伸ばすと、亜花梨は驚き、制止しようと振り返る。
 しかし一歩遅く、龍之助は彼女の肩に触れてしまった。

「んはぁっ!」
「へっ?」

 引き起こそうと、ガッシリと肩を掴むと亜花梨は今までで聞いた事の無いような声を上げた。
 処置室で茜が聴かせたような、官能的な声色――。熱を帯びた雌の声だった。
 龍之助が声に驚いている隙に、亜花梨は掴まれていた手を振り払う。

「亜花梨姉ちゃん……今の声って……」
「……うるさい。咄嗟に出ただけだよ」
「でも、すごいエッチな声だったよ」
「……」
「あんな声……今まで一度も聞いたことないのに……どうして喘いじゃったの?」
「~~~~! あ、喘いでなんか……!」

 亜花梨は今日一番に顔を真っ赤に染め上げながら、憤慨したように声を荒げる。
 普段の生活で全然見せない、彼女の慌てた反応に、龍之助はある予感を感じていた。
 もしかして――。一度そう思うと、龍之助は確認せずにはいられずに、再び亜花梨の肩に手を置いた。

「んっ……!」

 龍之助の動きが見えていたこともあり、手が触れた瞬間に、亜花梨は声を押し殺す。しかし、却ってその反応が龍之助に確信を持たせてしまった。

「亜花梨お姉ちゃんって、変態さんなの?」
「……はぁ? 何言ってんのタツ?……なんでそうなるのよ」
「だって、亜花梨姉ちゃんって、恥ずかしかったり、強く当たられると途端に顔を赤くするじゃない。んでさ、そういう時。凄い可愛い声を出すよね」
「出してない」
「そう? でもさっきの声――」
「出してない!」
「……ふーん、そっか」

 自覚がないのか認めたくないのか、亜花梨はすっかり意固地になってしまっていた。このままじゃラチがあかないので、龍之助は会話を適当に切り上げてから肩に置いた手を這わせるようにゆっくりと動かす。

「んんっ……! こ、こら、タツ! あんまりふざけると怒るよ!」
「なんで? ただ触ってるだけじゃない?」
「触り方が気持ち悪いのっ!」
「あー。じゃあ触り方を変えたら大丈夫?」
「えっ? あっ! ちょっ」

 龍之助は触っていた亜花梨の肩をがっしりと掴んで、自分の方に引き寄せた。
 座っていて力の入らなかった亜花梨は引っ張られるまま龍之助にしなだれかかる。そして龍之助は亜花梨を支えるように捕まえて、バスタオル越しに亜花梨の胸を遠慮なく揉みしだいた。

「は……はぁ……!? た、タツ……やめてっ!」
「やめないよ。亜花梨姉ちゃん、射精手伝ってくれるっていったでしょ? でも、亜花梨姉ちゃんってばヘッタクソで全然気持ち良くならないし……」
「へ、ヘタクソって……さっきは気持ちいいって頷いてたじゃん……」
「気を遣ってあげたに決まってるでしょ。そんなのもわからないくらいおバカさんなの? 亜花梨姉ちゃんは」
「う、うう……」

 強めの口調で言ってみれば、亜花梨は困惑した様子で大人しくなった。
 いつもと違う、しおらしい態度に龍之助の良心がチクリと痛む。それでも頑張って強気に振る舞った。これこそが、亜花梨が気持ち良くなれる方法だから。

 明確な根拠はなかった。だが、さっき謝った彼女の顔が、本当に喜んでいる亜花梨の表情となぜだかダブって見えたのだ。長年一緒に過ごしてきて、頻繁に顔を見せる相手だからこそわかる表情の変化。龍之助は微かに感じた違和感を見逃さなかった。

「亜花梨姉ちゃんに任せていたらいつまで経っても終わらないから。だから――身体だけ借りて、勝手に気持ち良くならせてもらうね」
「……」

 龍之助らしからぬ言動に、少しだけとまどいを見せていた亜花梨だったが、彼女は抵抗することなく、押し黙ったままその場から動かない。龍之助はその様子を確認してから、再び乳房をもみ始める。

「あ……、痛っ! ふう……ふうう……んっ、んんっ」

 龍之助が乱雑に胸を揉みしだけば、亜花梨は荒い息を漏らしながら、時折呻き声を上げている。普段ならこんなことをしようものなら光の速さでビンタか飛び蹴りが飛んできそうなものなのだが、今の彼女は黙ったまま、龍之助に身体を預けて呻き声を上げている。

「抵抗しないでいいの? 本当に好きにしちゃうよ?」
「……別に、手伝うっていったのはあーしの方だし……好きにすれば?」

 平静を装いながら、亜花梨は言い放った。だが、身体までは誤魔化せなかったようで、待ちきれないといった具合に脚をムズムズと動かしていた。

「へぇ、じゃあ遠慮なく」

 龍之助は胸から手を離すと、バスタオルに手を掛けた。

「あ……」

 何をされるのか察した亜花梨は、ビクリと身体を震わせてから声を漏らす。

「どうかした?」
「……別に」

 龍之助が聞くと、彼女は平静を保つようにしながら答えた。
 バスタオルを引っ張り隠れた身体を暴いてみれば、割れた腹筋がうっすらと見える、よく鍛えられた身体が現れた。
 布越しに揉みしだいていた双丘は先端を尖らせており、感情を声に出さないように頑張っている亜花梨がその実、昂奮しているのを龍之助に教えてくれているようだった。

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