「ま……ママ? どうしたの?」
先に動いたのは亜花梨だった。
まるで土下座のような形で丸まってしまった母親に、亜花梨は手を置き、優しく声をかける。
「うっううう……ひどい……ひどいわ……」
「な……何が……?」
何のことかさっぱりだといった感じの亜花梨が聞き返すと、優菜は頭を勢いよく上げて亜花梨に食ってかかる。
「どうしてなの!? どうして私も誘ってくれなかったの!?」
「ちょっ、ママッ。痛い痛いっ! 誘うって何を!?」
「タツ君とのエッチの事よおおおおおおおお!!」
絶叫とも言えるほどの大音量で、優菜は亜花梨に向かって叫んだ。
両肩をガシリと掴まれた亜花梨は力の限り揺らされており、首が折れんばかりにガクガクと揺れている。
「法律に認められたっ、息子とのラブラブえっちっ、ずっと楽しみにしてたのにっ、どうして私を仲間外れにしたのぉっ!」
「ちょっ、ま……まって、出る……お腹の中の物、色々出ちゃう……た、助けて、タツ……」
血の気の引いて来た表情で、亜花梨はこちらに手を伸ばす。
だが、龍之助はわざとらしく視線を逸らした。
筋肉質の姉ですらこの状況なのだ、龍之助が出ていったところでどうすることも出来ないのは目に見えていた。
「しかも何っ!? 30回!? どれだけ二人で楽しんでるのよっ! それだけ回数こなしちゃったら、手を繋ぐのも抵抗あったカップルですらマンネリ覚えちゃうぐらいの回数じゃないの!」
ヒートアップしていく優菜は、依然として亜花梨を振り回しながら昂奮の極みにあった。
「く……苦し……死ぬ……あ、あはぁ……死んじゃう……」
傍目に見ても、朦朧としてきた亜花梨は気持ちよさそうに笑顔を作り出した。
いよいよやばそうだ。そう思って龍之助は母親の元に駆け寄る。
「母さん。亜花梨お姉ちゃんを離してあげて。死にかけてるから……」
「え……あっ! ご、ごめんなさい。亜花梨ちゃん。つい取り乱しちゃって……」
「えへ……えへへ……だ、大丈夫ぅ」
亜花梨は身体を痙攣させながら笑っていた。
(あ……これはイッってるな)
姉の性癖を熟知している龍之助は亜花梨の状態を見てそう思ったが、そんなことを知る由もない優菜は、心配そうに声をかけていた。
流石に本人は気持ち良くなっているだけだから大丈夫――とは言えず。助け船を出す。
「母さん、とりあえず亜花梨姉ちゃんを休ませよう、暫く休んだら元気になるよ」
「え、えぇ……わかったわ」
優菜が頷いてから、二人で協力して亜花梨を龍之助のベッドに寝かせてあげた。
そのままここで話していたら彼女がうるさく思うだろうと、電気を消してリビングまで優菜と一緒に移動した。
「ちょっと待っててね、紅茶でも淹れてくるよ」
「……」
(なんだか、とても重症っぽいけど、大丈夫かな……)
ソファですっかり意気消沈している母親を尻目に、龍之助はキッチンに向かう。
「はぁ……ごめんねタツ君」
キッチンカウンター越しに、優菜が話しかけてくる。
「ごめんって何が?」
「さっきのお話、聞いてたでしょ? 私ね、タツ君のことを大事な息子であると同時に、あなたを性的対象に見ていたのよ。実の母親にそういう風に見られて、タツ君は気持ち悪いよね……」
「……」
「少なくとも私はそう思ってた。こんなこと考えるなんて気持ちが悪いって、いい歳したおばちゃんが何を言ってるんだって。自分で自分を卑下してたの……」
まるで懺悔室にいるように、優菜は胸の内を話してくる。
龍之助は母親の言葉を一言一句、聞き漏らさずに、ただじっと聞いていた。
「でもね、そんな時にふとチャンスがやってきたの。タツ君が原因不明っていう下の病気にかかってしまって、そのあいだは国が息子とえっちなことをするのを認可してくれる。まるで夢のような話だと思ったわ……でも、今まで息子に劣情を抱く自分をみっともなく感じていたせいで、何も出来ないまま……タツ君に異変が起きるまでただ待つことしか出来なかった。でも一向にタツ君は不調を訴えなかった……」
母親の話を聞きながら、それはそうだと思った。
最初の方こそ自分で処理していたが、それからすぐ、姉に手伝ってもらうようになったのだ。
亜花梨本人も積極的で、毎日順調に射精出来ているのだから不調になる訳がなかった。
「はい、紅茶淹れたよ」
「……ありがとう、タツ君」
項垂れる優菜に紅茶を差し出してあげると、彼女はこちらを見てからにこりと笑った。
ローテーブルを挟んで、龍之助も対面に座って自分用の紅茶をすする。
ティーカップを口に運びながら、優菜の方に目をやった。
優菜は自分の事をおばちゃんだと言っていた。確かに年齢だけみたらそういう事になるのかも知れない。
しかし、彼女の容姿はまた別だ。毎日の手入れを欠かさない彼女の肌艶はとても綺麗で、20代後半から30代前半あたりに間違われるぐらいに美しい。
ミディアムロングに切りそろえた髪もとても良く手入れされていて、濡れた髪のように艶やかな見た目は、優菜をとても若々しく見せていた。
そして何より――優菜の胸はでかい。
服の上から見ただけでも、手で掴み切れないことが容易に想像できるほどの巨峰が実っている。オマケにこの二つの巨峰は、重力に負けることなく前を向いているのだ。
こんな見事な身体をした母親が、自分のことをおばちゃん扱いするなんて……龍之助は耐えられなかった。
「僕は全然嫌じゃないよ」
「……え?」
ティーカップを両手で持ちながら、項垂れていた優菜は頭を上げた。
「だって、お母さん綺麗なんだもの。確かに家族同士でえっちなことなんて……いけないことなんだろうけど。僕は気持ち悪いなんて思わない。むしろ僕の方だって……」
言いながら、龍之助はソファから立ち上がる。
「た、タツ君……?」
「ほら……見てよこれ……」
ズボンを降ろして、龍之助は見せつけるように逸物を出した。
ついさっき一回抜いたばかりだというのに、そんなことを感じさせないほど、龍之助の屹立は脈動し、血液を送る血管は大きく膨れ上がっていた。
「母さんが変なことばっかり言うから……この状態で紅茶を淹れるの大変だったんだよ?」
「あ……あぁ……」
優菜はまるで憧れのハリウッドスターを見るかのように、憧憬の眼差しを逸物に向けていた。先ほどまで亜花梨が吸い付いていた逸物はてらてらと光っていて、ソレを見つめる優菜の濡れた瞳には、期待と羨望――そして劣情が秘められていた。
「母さん……これ、どうしたらいいかな……バキバキに張っちゃって、とても痛いんだ」
ビクンと動かしてやりながら、優菜に聞いてみると、彼女は生唾を飲み込む。
そしてまだ抵抗が残るのか、彼女は控えめに言った。
「タツ君……本当にいいの……?」
「勿論、助けてよ。母さん」
「……仕方ないわね」
龍之助の言葉に、優菜は深く深呼吸をすると、嬉しそうに笑顔を作る。
これ以上ないくらいに幸せそうな笑顔、長年の夢が叶ったような、そんな笑顔を龍之助に見せた。
「タツ君、こっちに来なさい。痛い所、私が――母さんがよしよししてあげるから」
「わーい! 母さん……ありがとう!」
大げさに喜んで見せてから、龍之助は優菜の元に向かっていった。
彼女の鼻先に雄棒が届くぐらい近くに寄れば、優菜は昂奮したように鼻息を荒げる。
「はああぁぁ……タツ君のオチンチン……私のせいでこんなに大きくなっちゃって……」
陶酔した瞳で大きくなった肉棒を少しのあいだ眺めていた優菜は、大切な物を扱うように、そっと手で触れた。
亜花梨とは違う、とても熟達した動きでカリの部分を優しく撫でてくる。
「う……うわぁ……な、なにそれ……凄い気持ちいいよぉ」
「ここはねぇ、男の子が特別気持ち良くなるところなんだよぉ……タツ君も気持ちいいかな?」
あまり水気を帯びていない性器を、優菜は絶妙な力加減で扱き上げる。触れるか触れないかといったぐらいの精密な指遣いに、龍之助はこそばゆく感じるほどの、刺さるような刺激に身を震わせる。
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