5,みんなと楽しんでしまった。(5)

「タツッ!」

 いきなりの出来事に亜花梨は驚き、龍之助の近くまで駆けつけていた。
 肩に手を乗せ、自分のことのように心配してくれる姉の姿に、龍之助は驚いた。

「どうしたんだよ、いきなり。もしかして――びょ、病気が悪くなったのか?」
「え……」

 亜花梨が口ごもりつつも龍之助の病気の容態を確認してきた。
 ちょっと前に静江に抜いて貰っているから痛みはない。それでもすぐさま病気を連想した亜花梨に少しだけ違和感を覚えた。
 だから、疑問符を浮かべて聞き返してみると、亜花梨は恥ずかしそうな状態のまま、龍之助の下腹部を指でさした。

「……うわぁ」

 自覚がなかったこともあり、ついつい声を上げてしまった。
 知らぬ間に亜花梨に欲情してしまった自身の逸物は大きく膨れ上がり、ズボンの突き上げ、テントを作っていた。
 確かにこんな腫れ上がったものを見てしまえば、原因は病気なんだと思うはずだ。

「だ、大丈夫だよ。病気で痛がってた訳ではないから……」
「でも……それは……」

 目が離せないと言った様子で、亜花梨は龍之助の膨らみを、目が離せないといった感じで見つめている。

(これは……ちゃんと説明しないといけないな)

 龍之助の体質を鑑みると、充血している下腹部は、亜花梨からしたらまさしく病気の兆候だ。きちんと説明しないと、余計な不安を煽ることになりそうだと思った。
 亜花梨の顔に目を向けながら、少しの恥ずかしさを感じながら口を開いた。

「亜花梨姉ちゃんに、好きな人が出来たのかなって思って……だから可愛い姿するようになって、て……その姿を想像してみたら、なんだか立ってられなくなったんだ」
「え……それってどういうこと……? てかなんであーしに男が出来てる前提なの?」

 困惑した様子で亜花梨が聞き返す。

「だって、さっき自分で可愛く見られたいって言ったじゃないか、そう言うってことは、そう見られたい人がいるってことでしょう!?」
「う……」

 龍之助の言葉に、亜花梨はギクリとした様子で言い淀む。
 やっぱりそうなんだ……。彼女の態度で確信にも似たものを感じて、龍之助はいいようのない寂しさが覆いかぶさるように身体中に流れ込んできた。

「……あーし気になる奴がいて、お前になんか関係あんの?」

 少し距離を感じるような、亜花梨の冷淡な声が聞こえる。

「……ないよ、僕達ってただの姉弟だもん」
「そうだよな、じゃあ、あーしに何があってもタツが口出すことじゃないだろ」

 確かに……確かにその通りだった。
 亜花梨にとって、龍之助はただの家族だ。姉の交友関係に、ましてや男女関係にまで首を突っ込む義理も、権利もない。それは龍之助自身も重々承知しているところだった。
 だからこそ、介護をしてもらっている現状に思い悩むこともあった。この状態はずっと続く訳ではない。病気が治ってしまえば、そのまま終わってしまうのだ。
 そして彼女は自分の生活を取り戻し、姉なりに思うがまま、人生を謳歌する。それでいいと思っていたし、それがいいと思っていた。

 だが……。

「それでも……なんだか嫌なんだ」

 胸中に溢れる不安感が、とうとう口を介して出てきてしまった。
 一度溢れてしまえば、止めることなど出来やしない。龍之助は感情に任せて言葉に乗せる。

「子供のころからずっと一緒にいた亜花梨姉ちゃんが、知らない男の人を連れて家に来る。自分の部屋に招き入れて、仲良さそうに談笑している声が聞こえる。そして……」

 そこまで言って、龍之助は言い淀む。――この部分は流石に口にしたくなかった。

「――そして、いずれは結婚して、子供を作って……段々と僕と亜花梨姉ちゃんの距離が開いていく……。そうなったら、もう軽口も、馬鹿やって殴られることも無くなっちゃうんだ。そんなの……嫌だ……」
「……タツ」

 話しながら、不安感だけでなく悲しさまで一緒に出てこようとしてくるようで、気が付けば目尻には涙を溜め込み、視界が歪み始めていた。
 我ながら情けないと思った。『龍之助』なんて名前をしている癖に、やっている事は女々しくてしょうがない。そんな自分が悔しくて、亜花梨がいつかいなくなるのが寂しくて、溜まった涙は水滴となって床に落ちた。

「馬鹿だなぁ、お前は」

 呆れたようにため息を吐いた亜花梨は、龍之助を支える腕に力を入れた。そして――小さな弟の身体を引き寄せれば、龍之助の顔は亜花梨の胸元に埋もれた。
 優しく――すべてを支えてくれるような丁寧な抱擁。不安で黒く染まっていた龍之助の胸中は、霞が晴れるように、安心感で白く染まっていった。

「姉ちゃんがこんな甘えんぼな弟をほったらかして、男に現を抜かすわけないだろ~?」
「ううう……頭をぐしゃぐしゃしないで~」

 脳を揺らされるくらいの勢いで、何度も何度も撫でられる。正直痛いくらいだけど、その痛さが大事にされているように感じて、嬉しくなった。

「タツ、お前なんか勘違いしてるみたいだけど、あーしに仲のいい男なんて一人もいないからな」
「え……そうなの? じゃあ可愛く見られたいって……誰に?」
「――――こんだけ言ってやってんのに、まだわかんないのか、鈍感」
「…………え!?」

 龍之助はハッとして、声を荒げながら亜花梨を見た。
 目を見合わせた亜花梨は、顔をこれ以上ないくらいに真っ赤にして、龍之助を睨むように見つめていた。

「まさか……可愛く見てもらいたい対象ってっ――」

 途中まで言ってから、突如続きを話せなくなってしまった。
 なぜなら――亜花梨の口が、話している龍之助の唇を塞いでしまったから。
 困惑している龍之助に亜花梨は積極的に唇を重ね続ける。

「ちゅ、ちゅ、ちゅぱ、ちゅうう……」

 空気の音を含みながら、啄むようにキスを交わす。弾力のある柔らかい唇が触れるたび、身体の力は抜けていく。数回口付けを交わすころには、龍之助も亜花梨を受け入れていた。
 優しく触れた唇が離れていき、亜花梨は龍之助を見つめた。こちらを見つめる瞳は潤んでおり、瞳の中にいる龍之助は霞んでしまっている。目尻を下げた表情からは、今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
 その姿が愛くるしくて、同時に酷く脆く見えてしまって、まさしく少女と言える姿に、龍之助は目を奪われっぱなしだった。

「……これでわかったか? バカタツ」
「…………はい」

 流石に――これでわからない馬鹿はいないだろう。ここで『わからない』と言う奴がいたとしたら、ハーレム漫画の主人公くらいだと思う。そう思うくらいに、強烈な主張だった。
 龍之助が頷くと、亜花梨は照れた顔を元に戻していつも通りの笑顔を見せる。

「そういや腹減ってたって話だったよな。何か作ろうぜ」
「あ、うん……はい」

 龍之助から離れた亜花梨は、そのままキッチンの方へ向かってしまった。
 ――耳を真っ赤に染めたままで。

「んでタツ、何食うよ?」
「……亜花梨姉ちゃん、かな」
「は?」

 亜花梨が振り返るよりも先に、龍之助は亜花梨を捕まえた。後ろから腕を回して、スカートの中に手を入れる。

「ひあ!? へっ? ちょっ、なにして……」

 腕を解こうと悶える亜花梨だったが、ひとたび龍之助の指が大事な部分に触れると、彼女は「んん……!」と声を上げて力を失くす。その後も龍之助は、秘所を弄び続けた。
 下着の上から、柔肉に隠れた突起を擦り、撫でて、摘んで見せる。敏感なところに触れるたび、亜花梨は切なそうに息を漏らしていた。

「んあっ、はぁ……ぁん……ど、どうしたんだよタツ、そんなにがっついて」

 弟を心配する姉の口調で尋ねながら、亜花梨は龍之助の頭を撫でた。酷く心地が良い感触に、どうしようもなく劣情が昂ってしまう。

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