1.9話

 やっと頼れる相手を見つけた彼女は俺を上手く使って何か楽をしようとしているのだろう。
 その考えが読み取れて少し怒りを覚えたが、確証もないのでグッと堪える。
 彼女は俺の心情に気付いてないのか、話を続ける。

「もし良ければ、私が仕事に行っている間、結花を預かって欲しいんです。お願いできませんか?」
「え」

 俺は鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をした、と思う。

「今勤めている所の勤務時間が15時から22時までなんです、なので学校から帰ってくる結花と入れ違いになってしまって」
「でも、彼女も中学か高校生くらいでしょう? そのくらいなら流石に一人でも問題ないのでは?」

 少女はいくら幼いと言っても一人で留守番が出来ない程幼く見える訳ではない、顔立ちは思春期を感じさせ、身長も150センチ前後といった所だ。
 そのくらいの年齢ならむしろ一人の時間を満喫する余裕すらあると思うが……。

「でも、結花に一人で留守番をさせた事がないんです。私がいない間に何かあったらと思うと心配で心配で……、なんとかお願いできませんか……?」

(この人……)

「……僕が断ったらどうするつもりなんですか? そもそも運よく僕と知り合ったから良かったものの、そのまま仕事の日になったらどうするおつもりだったんです?」
「それは……結花が帰ってくるまで待つしかないかと」

 彼女の話を聞いて、周りの対応が冷たい理由が分かった気がした。
 社会経験が少ないからか……考えが甘すぎる。この考え方でよく働き口を見つけられたなと感嘆する。

 俺が言葉に詰まっていると、彼女は上目遣いでチラチラとこちらの反応を見ている。
 緊張しているのか、両の手を脚に挟み込むように置いており、そのお陰で巨大なたわわが潰されて存在感を強調していた。

 俺はそのたわわを見て、しばらく考えた後、口を開いた。

「――僕、今彼女いないんですよね」
「えっ……?」
「あ、彼女が欲しいって話題ではないですよ。問題は性欲の方でして。」

 突然の話題に彼女は困惑していたが、性欲という単語で赤面した。子供がいるにしてはかなりウブな反応をすると思ったが。俺は構わず会話を続ける。

「詰まる所、性欲処理の相手が欲しいなと思ってるんですよ。ただ射精させてもらうだけの関係。後腐れなくていいでしょ?」
「え…………それ……私に……という事ですよね」
「別にあなたにとは、まぁでもそういう間柄なら少しくらい頼みを聞いてもいいかな、とは思いますけど」
「でもそんな…………無理――」
「結花ちゃんの帰りが遅い度に出勤が遅れたりなんかしたらすぐクビになりますよ」

 彼女の言葉に被せるように言うと、彼女は俯き黙り込んでしまった。
 やっと決まった仕事がなくなったりなんかしたら生活どころではない、かといって他に方法も思いつかない彼女には、断る事も出来ない。

 そもそも選択肢がないのだ。

 下腹部に血が集まるのを感じる。
 俺は彼女の返答が良いものだと確信していた。

「わ……わかり……ました……」

コメント

タイトルとURLをコピーしました