嬲《なぶ》るようにゆっくりと動きながら、俺は言った。
美穂さんからの返事は無く、口から出て来るのは熱を帯びた吐息だけ。しかし彼女の腰は一つの生き物のように動き、挿入を待ち望んでいるのは目に見えていた。
それでも言葉に出さないのは、自尊心と旦那への思いが邪魔をしているのだろう。
冷えた理性と火照る躰が葛藤し呻くように艶声を出す美穂さんを見て、脳が熱くなるほど昂奮しているのを感じる。
俺はこれが見たかったのだ。
「やっぱり最後までするのは無理ですかね?」
「ん……ふぅ……」
喘ぐばかりで要点を得ない美穂さんに、俺はわざとらしくため息を吐いてからピストン運動を止める。
すると彼女は躰を小刻みに震えさせてから、物足りないように「あ……」と切ない鳴き声を上げた。
「まぁ、美穂さんが嫌がるなら仕様がないか……じゃあいつもみたいに胸か口でお願いしようかな」
そう言ってから、すっかり発熱している尻肉から剛直を離そうとすると、
「ま、待って……ください」
紅潮した顔を隠すように背けながら、美穂さんは口籠もる。
「どうしたんですか?」
努めてわざとらしく聞き返してやると、彼女は悶えるようにしながらこちらを見てきた
「あの……別に……」
「別に?」
「……私に拒否権なんてないんですから……好きにしてもらっても……構いません」
「ん~~。なんだかよくわかないですねぇ。つまり何が言いたいんですか?」
「え……だ、だから……」
とぼけた態度で話を引き延ばしていると、美穂さんはどうしたものかと戸惑っていた。
劣情を抱えながらも、自分から求めるのと相手に無理強いされるのでは趣が違う。
あくまで彼女は脅されて仕方がないという状況でいたいのだ。
そうしている間にも口から漏れる息はゆっくりと、だらしなく吐き出されている。まるで溜まった劣情が漏れ出しているような吐息はいやらしく、美穂さんの顔を淫靡に仕上げていた。
「ほら、何をしていいのかはっきり言ってくれないと俺には伝わりませんよ」
「あっ、んっ……うぅぅん……」
誘うようにしている彼女の顔を見て、一層硬くなった雄棒を再び動かせば、彼女は机に顔を埋めるようにしてから、悩ましい声を上げている。
擦り付けている臀部は、恐らく美穂さんの意思とは無関係に雄棒を扱き上げており、濡れたスカートの擦れた感触も手伝って射精感がじわじわと湧き上がってきた。
「あ……なんだかもう出ちゃいそうかも」
「えっ、ま、待ってっ!」
俺の様子に声を荒げた美穂さんは、慌てて動きを止める。
「言います、ちゃんと言いますからまだイかないで……」
そう言うと、彼女は自分からスカートをまくり上げた。
黒い刺繍模様が施された、スカートと似た藍色の下着が姿を現すと、一目みただけでクロッチ部分はぐっしょりと濡れそぼっている。
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